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2002年 07月 01日
地中海を望む共同墓地
敬愛する建築家ル・コルビュジェが眠るサン・パンクラス共同墓地は南仏(コートダジュール)のイタリア国境近くにある。
地中海に面し、切りたった山腹から海と空の絶景を見渡すことの出来る高台に位置している。 日本の墓地不足が深刻であるが如く、フランスに措いても同じようだ。 高密度の埋葬という主命題と、オープンスペースの確保という相反する命題を、敷地の断面線に沿いながらコンクリートの塊を埋めることでランドスケープを構成し、解決している。 周辺の自然と対峙するかのように、中央に設けられた無機質な階段は墓へと導く。墓の蓋(プレート)は白大理石で作られており、各々は均等な大きさで整然と配置され、地中海に開かれた壁面を構成する。 壁面は空を切り取り、光を導き、海とつながる。 サン・パンクラス共同墓地は、地勢を読み取り敷地の自然の力を表現することで、人の「生」と「死」の根源的な意味を問いかけているかのように思える。 探訪日: 1997 / 06 探訪者: 柳川賢次 所在地: フランス ロックブリュンヌ・カップ・マルタン
by mys-style
| 2002-07-01 09:00
| 建築採集(2002年)
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