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2013年 08月 01日
想像を掻き立てる建築
佐賀県で2つのお城を見学してきた。
1つは、1608年(慶長13年)に築城され、1871年(明治4年)に解体、1966年(昭和41年)に再建された唐津城。もう1つは、1592年(天正20年)に築城され、1602年(慶長7年)に解体された名護屋城だ。 この2つのお城の見学を終えて、過去の建物を再建することが、必ずしも文化遺産の良い保存方法であるとは限らない、ということを感じた。 過去のモノを現在に甦らせることで、実際にそのモノを体感できることはすばらしいことだが、モノの体感以上にそこで行われていたコトや歴史的背景、あるいはそのモノやコトが起きるきっかけを想像したり、考えたりすることの方がより良い未来に繋がるような気がする。 ある人がこんなことを言っていた。 『生物にとって最高の発明は、死ぬことだ』 これが意味していることは、古いものを取り除き、新しいモノのために道を開いてくれる変革の担い手が死であるということだと思う。建物も生物と同様、必ず朽ちていき最後は無くなる。その時に、次の世代のためにどれだけ良いきっかけをその建物が与えられたかで、その建物の価値が決まるような気がする。モノを新しくすること自体に価値があるのではなく、現在の問題を解決し、次の世代がより幸せになれるよう、現状より良くなるように変化することが最も重要なのではないだろうか。 もちろん過去の建物をそのまま復元し、資料を置くことで過去を現在に伝えることはとても重要である。しかし、その先のためには、現在の人々の想像を掻き立て、未来を考えさせるきっかけを与えるようなモノとコトが、今、もっとも必要なのではないだろうか。 探訪日: 2013 / 05 探訪者: 柳川実理 所在地: 佐賀県 ![]()
by mys-style
| 2013-08-01 09:00
| 建築採集(2013年)
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