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2016年 12月 01日
バウムシュレーベック・クレマトリウムキリスト教社会においては土葬が主流で、火葬の歴史というのは比較的新しいようです。ドイツも、人口の急増による土地不足や衛生上の問題により、火葬場を造る動きが出てきました。 このバウムシュレーベックにおいても同様で、今からほぼ一世紀前の1913年に墓地として造られ、1999年に火葬場として再建されました。 設計はアクセル・シュルテス&シャルロッテ・フランクです。 土葬時代に作られたドイツの伝統的な木造建築の古い門を残し、その軸線上にコンクリートとガラスで新たな建築を据えられています。内部は二十数本のコンクリートの柱と光で構成されており、柱頭部は天井スラブを受けるのではなく光の入口となっています。この柱の自立感は「静寂」と「荘厳」を創り出しています。また、壁と天井スラブは分離され光のスリットが設けられています。 壁沿いの床に設けられた正方形の穴には砂が敷かれています。この砂は、砂時計の砂が落ちて、消えさった時間を象徴しているとのことでした。 正方形のホールの中央には円形の池があり、キリスト教の復活のシンボルである小さな白い卵が浮かんでいます。その周りに葬儀のためのチャペルがありました。 モダニズム建築が作り出すこの空間は、宗教を限定するのではなく多様な信仰と儀式にフレキシブルに対応することの出来る「静寂」と「尊厳」を醸し出すシンプルな建築でした。 探訪者: 柳川 賢次 所在地: ドイツ ベルリン
by mys-style
| 2016-12-01 10:06
| 建築採集(2016年)
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