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2017年 09月 29日
「見せ方」から「見え方」へ「国立新美術館」は、2002年に黒川紀章 氏によって設計され、2007年に開館しました。そして、国立美術館で唯一コレクションを持たず、常設展示を行わない美術館です。展示会の開催・情報収集およびその公開・教育普及を主な目的とした新たな美術館のあり方を示しています。 この建築物の大きな特徴としては、なんと言ってもその外観です。垂直に設けられたガラスの壁面と水平に設けられたガラスのルーバーで外壁のカーテンウォールが構成されており、その外壁が複雑な自然曲線(フラクタル曲線)になっています。そして、水平のガラス板には、水玉のドット模様がエッジングされており、その模様により日射遮蔽を行っています。 内部の特徴としては、ロビーに配置されている大きな逆円すい型の鉄筋コンクリートのコーンがあげられると思います。床面積が上に行くほど広がり、下に行くほど狭くなる形状の特徴を生かしながら、上にレストランを配置し、下のロビー・スペースを極力邪魔しない配慮がなされています。また、吹抜けのある大空間にあっても、床に吹出し口を設けることで、人の利用域のみを空調するとても効率的な設備計画となっています。 昨今、写真の専用のアプリを利用して撮影するなど、「見せ方」の工夫が盛んになっていますが、何か違和感を覚えます。 モノの「見せ方」を変えるのではなく、モノの「見え方」を変えることでそのモノの新たな特徴を発見することや、そのモノの価値を再認識できることに意義があるように思います。 今回、国立新美術館を訪れてみて、利用者や自然環境に配慮しながら、いろいろな企画が実現できる場になっており、モノの「見え方」の重要性に気づかせてくれるすばらしい建築物であると感じました。 探訪日: 2016/ 04 探訪者: 柳川 実理 所在地: 東京都 港区六本木
by mys-style
| 2017-09-29 09:00
| 建築採集(2017年)
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