Kenji Yanagawa Architect & Associates

minory.exblog.jp

カテゴリ:建築採集(2016年)( 5 )


バウムシュレーベック・クレマトリウム


キリスト教社会においては土葬が主流で、火葬の歴史というのは比較的新しいようです。ドイツも、人口の急増による土地不足や衛生上の問題により、火葬場を造る動きが出てきました。

このバウムシュレーベックにおいても同様で、今からほぼ一世紀前の1913年に墓地として造られ、1999年に火葬場として再建されました。
設計はアクセル・シュルテス&シャルロッテ・フランクです。

土葬時代に作られたドイツの伝統的な木造建築の古い門を残し、その軸線上にコンクリートとガラスで新たな建築を据えられています。内部は二十数本のコンクリートの柱と光で構成されており、柱頭部は天井スラブを受けるのではなく光の入口となっています。この柱の自立感は「静寂」と「荘厳」を創り出しています。また、壁と天井スラブは分離され光のスリットが設けられています。
壁沿いの床に設けられた正方形の穴には砂が敷かれています。この砂は、砂時計の砂が落ちて、消えさった時間を象徴しているとのことでした。
正方形のホールの中央には円形の池があり、キリスト教の復活のシンボルである小さな白い卵が浮かんでいます。その周りに葬儀のためのチャペルがありました。

モダニズム建築が作り出すこの空間は、宗教を限定するのではなく多様な信仰と儀式にフレキシブルに対応することの出来る「静寂」と「尊厳」を醸し出すシンプルな建築でした。

探訪日: 2015 / 01
探訪者: 柳川 賢次
所在地: ドイツ ベルリン
b0114785_10043668.jpg


[PR]
by mys-style | 2016-12-01 10:06 | 建築採集(2016年)

バウハウス


バウハウスは、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行なう学校として、1919年にドイツ・ワイマールに建てられました。
合理主義的・機能主義的な芸術を目指しながら学校として存在し得たのは、1933年に閉校されるまでのわずか14年間でした。しかし、その活動は現代美術に大きな影響を与えました。1925年にデッサウに移転され「市立バウハウス・デッサウ」となり、初代校長にグロピウスが就任しました。
このデッサウの校舎はグロピウスの設計によるものです。

ガラス、鉄、コンクリートを駆使して空間を構成し、「形は機能に従う」という創設者の考えのもと、見事に表現されました。
この建物がヴァイマルから追われた造形芸術学校の活動拠点となりました。

バウハウスの理念は芸術と技術を統一するもので、現代工業文化の先駆的な役割を果たしました。画家やそのほかの芸術家の仕事も同じように重要となり、パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、リオネル・ファイニンガー、オスカー・シュレンマー、ラズロ・モホイ=ナジ、マルセル・ブロイヤー、ミース・ファン・デル・ローエ等の作品は私たちの文化の一部となりました。

現在もバウハウス大学として使われているこの施設は、70年の時を経てもなお、変わらずあらゆる分野のクリエーターに総合芸術のあり様を示してくれているようです。

探訪日: 1996 / 06 ・ 2015 / 01
探訪者: 柳川 賢次
所在地: ドイツ デッサウ
b0114785_10264025.jpg

[PR]
by mys-style | 2016-11-03 10:28 | 建築採集(2016年)

伝統の発見


金谷ホテルは、1873年に栃木県日光市にて開業した、現存する日本最古のリゾートクラッシックホテル(戦前に建設された日本のホテル)です。また、登録有形文化財や近代化産業遺産に指定されているとても価値の高い建築です。

主な特徴としては、1873年に開業して以来、1893年に本館の2,3階部分の増築、1901年に新館、1935年に別館を建設というように、趣を残しながら増改築を経て現代に至っています。
金谷ホテルの魅力には、世界遺産に登録されている日光東照宮へのアクセスのしやすさや、ホテルとしてのホスピタリティなど多くの魅力があると思います。しかし、その魅力の根源にあることは、時代とともに変化しているにも関わらず、伝統を感じられることにあるのではないでしょうか。

現在、政府は『クールジャパン』をキャッチフレーズに日本の文化を積極的に発信していくようになりました。しかし、文化を発信するだけでは、知識で終わるような気がします。今まで行ってきたことや伝えられてきたこと(伝統)を発見できた時、人々は敬意を抱き、魅力を感じるのだと思います。

年配のドアマンが手動の回転ドアを廻しながら、一人一人丁寧にロビーに招き入れている姿を見て、日本旅館が持つ『おもてなしの精神』と西洋文化の『サービス精神』を発見した時、非常に心地よさを感じました。 論より証拠ですので、ぜひ一度訪ねてみては如何でしょうか。

探訪日: 2016 / 09
探訪者: 柳川 賢次
所在地: 栃木県 日光市
b0114785_1252074.jpg

[PR]
by mys-style | 2016-10-01 09:00 | 建築採集(2016年)

静かなる空間


東京国立博物館の法隆寺宝物館は、1999年に東京都台東区上野公園内にて、東京国立博物館にある法隆寺献納宝物の展示施設として、谷口吉生 氏により設計されました。飛鳥時代から奈良時代にかけて生まれた貴重な宝物300件あまりを収蔵しており、正倉院宝物と双璧をなす古代美術のコレクションを扱っているとして高い評価を受けています。

建築的特徴としては、軽量なアルミハニカムパネルの屋根を採用することで、下部構造物への負担を軽減させ、柱を細し、建築物が利用者に圧迫感を極力与えないよう配慮されています。また、御影石のアプローチで水面を囲むとともに、エントランスホールを透明なガラスのボックスとライムストーンで構成することで、外部とつながっているかのような感覚のまま展示室へ誘導されて行きます。
周辺の木々や光、そして水など、すべてが一体となり、訪れた人々に穏やかな時間を与えてくれます。

現在、真新しさや話題性を優先した建物が非常に多くなってきています。
メキシコの建築家ルイス・バラガンは『建築家の使命は静寂な空間を創ること』
であると言いました。
まさにこの建物は、その言葉を体現できている作品ではないでしょうか。

谷口吉生 氏の追っかけ(ファン)の小生は、休日のひと時をこの静けさで癒されました。パンダも良いですが法隆寺宝物館もおすすめです。

探訪日: 2016 / 09
探訪者: 柳川 賢次
所在地: 東京都 台東区
b0114785_12534781.jpg

[PR]
by mys-style | 2016-09-01 09:00 | 建築採集(2016年)

過去は新しく、現在は.....


兵庫県公館は、1902年に兵庫県庁本庁舎として、山口半六による設計で兵庫県神戸市に建てられました。1985年からは県の迎賓館および県政資料館として活用されています。また、多数の芸術家の作品が展示され、大会議室では芸術系の展覧会が開催されるなど、施設全体が美術・博物館としての性格ももっています。

建物の特徴としては、建物の中央に中庭を配置した、回廊式であることです。敷地の周囲に建物を配置する回廊式とすることで、床面積以上に建物の外観を大きく見せ、東洋最大の海運市場になっていた神戸の繁栄を表しています。そして、中庭を介して採光および通風を確保できることで、良い居室環境を保てる建物となっています。また、ルネサス形式を採用することで、装飾による派手さが少なく、落ち着いた品のある壮麗な建物になっています。

近年、税金の使い道や国民投票が話題にあがることが多くなっていますが、すべてのコトにコストカットや国民の意思を反映させて行政を行うことが正しいかどうかを疑問に思います。
兵庫県公館は、神戸の歴史を象徴し、芸術・文化の発表や育成に大きく貢献している公共施設であると感じました。

モダニズムにしか興味ない60歳を過ぎた小生には、このルネサンス様式の建築が何か現代にない新鮮な建物に映りました。
1世紀の歳月を超える建築が素晴らしいと感じられた一時でした。

探訪日: 2016 / 08
探訪者: 柳川 賢次
所在地: 兵庫県 神戸市
b0114785_12553267.jpg

[PR]
by mys-style | 2016-08-01 09:00 | 建築採集(2016年)